【関西】定例研究会報告 黒田覚の非常時体制論・大国隆正と教派神道をめぐる雑感

 令和4年1月15日(土)午後、貸会議室オフィスゴコマチにて、民族文化研究会の関西地区第42回定例研究会が開催された。
 報告者は、湯原静雄氏と竹見靖秋氏。
 湯原氏の報告は、「黒田覚の非常時体制論――新体制運動への関与から国防国家論の展開まで」と題したもの。憲法学者である黒田覚は、当初は自由主義的な立場だったものの、のちに全体主義的な立場へと転向し、近衛文麿らが指導した新体制運動に呼応して、独自の非常時体制論を展開した。本報告では、こうした黒田の展開した非常時体制論を概観し、当時の総力戦体制を支えた思想的潮流を探った。
 竹見氏の報告は、「大国隆正と教派神道をめぐる雑感」と題したもの。国学者である大国隆正は、門下である福羽美静らを通して、明治維新政府の神祇政策に大きな影響を与えた。本報告では、こうした近代以降の政教関係に大きな影響を与えた大国隆正について、様々な論点(平田篤胤との交流や、教派神道との関係)を踏まえ、検討した。
 今回の研究会は、報告後の質疑応答も活発に行われ、非常に盛会だった。

 

f:id:ysumadera:20220203052613j:plain

大国隆正