コラム

【コラム】乃木神社参拝騒動の下らなさ――戦後日本の歴史認識問題につきまとう病弊

一 乃木神社参拝騒動とその余波 立憲民主党代表である泉健太が元旦に乃木神社を参拝し、それをSNS上で報告したところ、「軍国主義の象徴である乃木希典を祭祀する神社を参拝するとは、戦前への反省が不足しているのではないか」といった類いの批判が続出した…

【コラム】「帝国市民」と欧州右翼運動の現状――ユートピア願望の果て

「帝国市民」とは ドイツでは、最近になって「帝国の市民(Reichsburger)」と呼ばれる極右勢力が注目されつつある。この勢力は1980年代中盤に出現し、確たる組織をもたない緩やかなネットワークを形成し、近年ではソーシャルネットワークを介して連携を行っ…

【コラム】「アジア特有の道」――現代アジアの経済発展と近代化

往時と対比すると退潮の気配が深まりつつあるとはいえ、中国の台頭は目覚ましい。経済・技術・軍事にわたる、物質的側面での中国の成長は、世界情勢そのものを塗り替えつつある。だが、こうした中国の発展は、手放しで礼賛できるのだろうか。換言すれば、こ…

【コラム】欧州右翼における「ヨーロッパ主義」――欧州右翼のヨーロッパ像とEU危機

欧州は、解体の危機に晒されている。ヨーロッパ連合の制度疲労は明白であり、それに難民流入問題が拍車をかけ、欧州の連帯は危殆に陥りつつある。こうした危機的状況を象徴しているのが、昨年のイギリスのヨーロッパ連合からの離脱だった。このニュースは、…

【コラム】イロニーとしての「日本」――「日本論」の氾濫を横目に

眼前の机上に、私が購読している「国民同胞」という、ある保守系の団体の機関紙が載っている。そこでの記事に、海外在住の日本人会社員の手記があった。論旨を掻い摘むと、海外で生活するには、祖国を心の支えにする必要がある、ということである。確かに、…

【コラム】アジア主義の陥穽を探る――世界南モンゴル会議結成大会に臨席して

先日は、参議院議員会館で挙行された世界南モンゴル会議結成大会に臨席した。ゴビ砂漠以北のモンゴル民族は独立を果たしたが、ゴビ砂漠以南のモンゴル民族は中国共産党の圧政下にある。今回は、こうした圧政に抵抗するため、南モンゴルの諸団体が糾合し、世…