【関西】定例研究会報告 日本イスラーム史について

 3月20日(土)午後、貸会議室オフィスゴコマチ(京都市)にて、民族文化研究会の関西地区第32回定例研究会が開催された。

 報告者は、ジャーナリストの小滝透氏。「日本イスラーム史について」と題し、近代日本においてイスラム教がいかに受容されたのか、歴史的に概観した。小滝氏はリヤド大学(サウジアラビア)に留学経験があり、イスラム教に詳しい。

 近代以降、日本にもイスラム教が流入するが、宗教的戒律を忌避する日本の風土を鑑み、当時の日本人ムスリムは、戒律をできるだけ緩和し、さらに愛国色を盛り込むことによって、日本の実情に対応したイスラム教を展開した。

 小滝氏は、こうした日本の実情に合わせ、様々な修正を加えられたイスラム教を、大乗仏教に倣って、「大乗イスラーム」と呼ぶ。そして、現代日本において青年層の一部に見られるイスラム教ブームに触れ、日本において可能なイスラム教受容は、あくまで先に述べた「大乗イスラーム」だと指摘した。

 今回の研究会は、質疑応答も活発に行われ、非常に盛会だった。イスラム系の移民も増加しつつあり、日本人がイスラム教を如何に受け止めるかは、重要な論点となりつつある。こうした問題を考えるに当たって、近代日本におけるイスラム教受容を概観した本報告は、非常に参考になると思われる。

 

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日本最大のモスクである「東京ジャーミイ