【関西】定例研究会報告 憲法における法と政治――戦前期日本憲法学説の一断面

 

 1月21日(土)午後、民族文化研究会の関西地区第53回定例研究会が開催された。今回は、Skypeを使用したオンラインでの開催となった。

 報告者は、弊会の有坂事務局長。「憲法における法と政治――戦前期日本憲法学説の一断面」と題し、報告を行った。日本の憲法学説は、19世紀ドイツで勃興した実証主義公法学の影響下で、法解釈から政治的要素を捨象し、非政治的な法解釈を志向する傾向が強かった。

 だが、昭和戦前期に突入すると、こうした傾向は批判され、むしろ法と政治の関係性を直視し、両者の関係性を積極的に位置付けようとする議論動向が生じた。黒田覚、尾高朝雄、大西芳雄といった若い世代の研究者が、こうした議論動向を代表していた。

 こうした論者は、同じ問題関心を持っていた、C・シュミットやO・ケルロイターの議論を摂取しつつ、実証主義公法学が限界を迎えていることを指摘し、法と政治の関係性を直視し、両者の関係性を積極的に位置付ける、新たな法理論が求められると主張した。

 本報告では、こうした戦前期日本の憲法学説における、法と政治の関係性をめぐる議論を概観し、同時代の憲法学説の重要な局面を明らかにした。

 

                  尾高朝雄