【関西】定例研究会報告 中東世界と一帯一路

 2月15日午後、貸会議室オフィスゴコマチ(京都市)にて、民族文化研究会関西地区第22回定例研究会が開催された。
 報告者はノンフィクション作家の小滝透氏。「中東世界と一帯一路」と題し、中東における宗教問題・民族問題と中国の推進する一帯一路構想の関係を概観した。小滝氏はサウジアラビアのリヤド大学に留学経験があり、中東情勢に詳しい。
 まず、小滝氏は、イスラム教の宗派間対立を基本的構図とする中東情勢を概観し、続いて一帯一路構想の実像を説明した。小滝氏によると、中国からユーラシア大陸を経由してヨーロッパに繋がる経済圏を形成しようとする一帯一路構想において、中東は重要な地域として位置付けられるが、複雑な中東情勢を鑑みるに、対中東政策は一帯一路構想の蹉跌になりうる。
 中国の覇権主義に対応を迫られる日本にとって、一帯一路構想の趨勢は極めて重要な問題である。本報告は、こうした問題に対して正確な認識を得る貴重な機会となった。中東情勢についても、わが国では知識を得づらく、本報告は非常に参考になった。
 また、議論は中国の覇権主義の歴史的背景や、中国国内のイスラム教徒に対する弾圧政策にまで及んだ。活発な質疑応答がなされ、盛会だった。

 

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報告する小滝氏