【新刊紹介】金子顧問が一部執筆した『国家神道と国体論――宗教とナショナリズムの学際的研究』刊行

 当会の金子宗徳顧問が一部執筆した藤田大誠編『国家神道と国体論――宗教とナショナリズムの学際的研究』が弘文堂から刊行された。
 同書は、近代日本の宗教とナショナリズムに関わる重要な主題でありつつ、深い交渉をもたないまま、固有の文脈をもって別個に展開してきた「国家神道」と「国体論」の関係性を解明することによって、近代日本における宗教とナショナリズムの精神的展開を明らかにすることを目指し、近代神社に関する思想・制度・空間・人物(第一部)、教育・慰霊・新宗教ナショナリズム(第二部)、筧克彦・河野省三・井上孚麿・里見岸雄ら多様な思想・学問の担い手による国体論(第三部)といった多岐に渡る分野の論考が所収されている。
 金子氏が執筆したのは、「里見岸雄と『国体明徴』――『天皇機関説の檢討』から《日本国体学会》の設立へ」(469頁以下)。これまで通説的な地位を占めていた天皇機関説が、貴族院における菊池武夫の演説を発端として排撃されるようになった天皇機関説事件の発生時、科学的国体論の提唱者として知られる里見岸雄が、天皇機関説天皇主体説双方の限界を指摘し、両者の止揚を試みたことが、里見の日記といった当時の史料をもとに明かされる。

 

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藤田大誠編『国家神道と国体論』(弘文堂、令和元年)