【役員動静】国際シンポジウム「1789-2019 フランス革命から230年、伝えられなかった真実を見直そう」を聴講

 7月13日、当会役員(小野耕資副会長、渡貫賢介東京支部長、湯原静雄関西支部長、相川絹二郎関西支部副代表)が、麗澤大学東京研究センターで開催された国際シンポジウム「1789-2019 フランス革命から230年、伝えられなかった真実を見直そう」を聴講した。
 このシンポジウムでは、日仏の研究者が登壇し、フランス革命の批判的検討と伝統主義・君主主義の再評価論を基軸とした研究報告が行われた。
 まず、川上洋平氏(専修大学准教授)が、「ジョゼフ・ド・メーストルの反革命論:政治と宗教の間に」と題し、カトリシズムに立脚した革命批判を主唱した思想家として知られるメーストルの政治理論、宗教理論を、反革命論、権力論、宗教論の三つの視座から概観した。
 続いて、平坂純一氏(批評家)が、「日本における明治時代以降のフランス革命の受容」と題し、日本近代史の歴史的展開を振り返りつつ、そこに伏在する大衆化、市場化、中央集権化といった伝統を破壊する「革命性」を剔出し、批判を加えた。
 そして、ポール・ド・ラクビビエ Paul de Lacvivier 氏(里見日本文化学研究所特別研究員、國學院大学博士後期課程)が、「革命裁判と国王・王妃の裁判」と題し、革命の際に行われた国王・王妃の裁判を概観し、その手続上の問題性を指摘した。
 その後、フィリップ・ピショー Philippe Pichot 氏(仏ブレスト大学教授)が「1789年7月14日と1790年7月14日」と題し、フランス革命のメルクマールとなったバスチーユ襲撃を糸口に、フランス革命全体の性格を考察した。
 続いて、アン・ベルネ Anne Bernet 氏(歴史家)が、「1792-1814 フクロウ党員の諸抵抗 忠誠と帰依の戦争」と題し、ヴァンデ戦争と並ぶ反革命武装蜂起にも関わらず、農民を当事者としてゲリラ戦的に展開されたため、あまり光が当たってこなかったフクロウ党について概観した。
 最後に、マリアン・シゴー Marion Sigaut 氏(歴史家)が、「国民の名によって」と題し、フランス革命の正当化原理だった国民概念の欺瞞性を、フランス革命の歴史的展開を概観することによって明らかにした。
 このシンポジウムは翌14日も行われ、ジェイソン・モーガン Jason Morgan 氏(麗澤大学准教授)やマイケル・マット Michael Matt 氏(カトリック系新聞レムナント The Remnat 紙編集長)らが登壇する。

 

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報告するラクビビエ氏