2016-11-12から1日間の記事一覧

定例研究会報告 ベトナム民族運動と「民族の権利」

1.「民族の権利」としての基本的人権 東遊運動最大の指導者ファン・ボイ・チャウは、次のように言う。 「けだしヴェトナム人の今日フランス人に要求するところは、土地の回復ではない。権利の回収でもない。いっさいの土地利権は、ただカトリック教フラン…

定例研究会報告 本居宣長の神道思想における「擬制」の概念――江戸儒学からの影響を踏まえて(第2回・完)

二 本居宣長の記紀研究の手法――実証主義と「神代」の再構築 記紀解釈において要点となるのが、「神代」をいかに解釈するかという問題だ。日本初の正史である「日本書紀」は、冒頭に天地・国土や神々の誕生と神々の物語を記す「神代」巻を置いている。それは…

定例研究会報告 本居宣長の神道思想における「擬制」の概念――江戸儒学からの影響を踏まえて(第1回)

はじめに 江戸儒学において特徴的な概念である「擬制」は、荻生徂徠の思想を端緒として見出される。徂徠は、もはや再現しえない古代中国の理想的秩序を、言語的習熟という手段によって、かりそめであれ作為的に構築しようと試みた。こうした「擬制」論は、朱…