民族文化研究会

わが国の伝統的な民族文化・民族生活ならびに世界の諸民族を取り巻く問題を研究

定例勉強会報告11 「仁孝」から「名分」へ――水戸学の一断面

去る6月18日の民族文化研究会定例会における報告「『仁孝』から『名分』へ――水戸学の一断面」の要旨を掲載します。 はじめに 水戸学に一貫した評価を付与するのは、容易ではない。まず、水戸学は、徳川光圀による『大日本史』の編纂事業に端を発する前期水戸…

定例勉強会報告10 渋川春海の尊皇思想・陸羯南の国家的社会主義

去る5月14日の民族文化研究会定例会の模様を、ここでお伝えします。まず、「渋川春海の尊皇思想」と題した発表が行われました。渋川春海は、近年では冲方丁『天地明察』で広く知られるようになりましたが、日本で初めて国産暦を作成した人物として著名です。…

定例勉強会報告9 〈神道神学〉という試み――上田賢治氏の業績から(一)

◇はじめに 民族主義がその根幹として重んじるのは、各民族が持つ神話、そしてそれに基づく信仰・習俗である。我が民族が奉ずべきは、古伝に記された神話、そしてそれを基としたいわゆる神道信仰ということになる。ところが、単にこれらを奉ずるといってもは…

時論4 「アジア特有の道」――現代アジアの経済発展と近代化

往時と対比すると退潮の気配が深まりつつあるとはいえ、中国の台頭は目覚ましい。経済・技術・軍事にわたる、物質的側面での中国の成長は、世界情勢そのものを塗り替えつつある。だが、こうした中国の発展は、手放しで礼賛できるのだろうか。換言すれば、こ…

奉祝 昭和の日

本日は、昭和の日です。全国で、昭和の日を奉祝する式典が挙行され、晴れやかな表情でこの慶き日をお祝いする人々の姿が見られました。当会も、多くの国民と共に、激動の昭和の御代に想いを馳せ、昭和天皇の御聖徳をお偲びしたいと思います。

討論会報告2 民族宗教(パガニズム)の可能性

過日、民族文化研究会では、有志によって「民族宗教の可能性」を主題に、討論会を行った。現代における民族宗教の展望をめぐって、数時間にわたり議論が交わされた。そこでの議論は、民族宗教に伏在している可能性を剔出するものとなっている。以下は、その…

定例勉強会報告8 近年の記紀を巡る議論瞥見

一 はじめに 我が民族の原点、基層を探る時、どうしても避けられないのが『古事記』『日本書紀』(以下、記紀)といった古典である。記紀を巡る研究は莫大なものがあり、研究史を瞥見するのは容易なことではないが、さりとて従来の研究の参照は、どうしても…

定例勉強会報告7 明治国家形成と国学者――平田国学と津和野国学の国家構想と維新政府への影響

はじめに 明治国家は、近代的な法制・軍備の吸収に熱心な一方で、祭政一致主義・天皇親政主義を基調とする神権的政治秩序を基盤としていた。阪本是丸は、こうした体制を、『明治維新と国学者』(大明堂、1993年)で、「近代的祭政一致国家」と呼称した。そし…

奉祝 建国記念の日

本日は、建国記念の日です。全国で、建国記念の日を奉祝する式典が挙行され、晴れやかな表情でこの慶き日をお祝いする人々の姿が見られました。当会も、多くの国民と共に、肇国の大業に想いを馳せ、わが国の弥栄を祈念申し上げます。

討論会報告1 アジア主義の脱構築

過日、民族文化研究会では、有志によって「アジア主義の脱構築」を主題に、討論会を行った。現代におけるアジア主義の展望をめぐって、数時間にわたり議論が交わされた。そこでの議論は、これまでのアジア主義を生まれ変わらせようとする方向性を示唆してお…

時論3 欧州右翼における「ヨーロッパ主義」――欧州右翼のヨーロッパ像とEU危機

欧州は、解体の危機に晒されている。ヨーロッパ連合の制度疲労は明白であり、それに難民流入問題が拍車をかけ、欧州の連帯は危殆に陥りつつある。こうした危機的状況を象徴しているのが、昨年のイギリスのヨーロッパ連合からの離脱だった。このニュースは、…

謹賀新年

旧年中は、当会の活動をご支援いただき、誠にありがとうございました。振り返るに、イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選の模様など、昨年は波乱に満ちた一年でした。この激動は、グローバル化の矛盾が噴出し、ナショナリティへの回帰が顕在化しつつある、と…

書評2 川久保剛・星山京子・石川公彌子『方法としての国学』(北樹出版、2016年)

本書は、いかにグローバル化の潮流と対峙し、ナショナリティを再確認するか、という伝統的な、しかし喫緊の課題を解決する糸口を、国学の系譜に求めた気鋭の日本思想史研究者たちの論考集である。こう説明すると、国学のイメージから想起される、きわめて常…

定例勉強会報告6 東京裁判の比較文明論――東京裁判開廷70年を迎えて

はじめに 今年は、1946年に東京裁判(極東国際軍事裁判)が開廷してから、70年の節目に当たる。東京裁判が開廷してから50年の節目だった1996年にも、「東京裁判とは何だったのか」と題して、歴史家を中心とした大規模なシンポジウムが挙行されたが――五十嵐武…

定例勉強会報告5 明治典憲体制について

明治典憲体制とは、一般に、皇室典範と大日本帝国憲法が、ともに最高の形式的効力をもつ憲法体制のことをいう。明治典憲体制は、明治22年、あるいは明治40年に成立した。 明治22年は、大日本帝国憲法と皇室典範が制定された年である。憲法では国家の統治機構…

定例勉強会報告4 東西のナショナル・アイデンティティ探求の対照――谷省吾における国学とゲルマン学の比較研究を手がかりに

はじめに 日本とドイツは、双方ともに、十九世紀における政治的な近代国民国家の確立に先立ち、十七世紀・十八世紀における文化的な国民国家概念の形成を経験した。こうした文化的な国民国家概念の形成は、日本においては国学によって担われ、他方でドイツに…

書評1 新保祐司『「海道東征」への道』(藤原書店、2016年)

本書では、気鋭の文藝批評家である著者が、2005年から2016年まで、産経新聞の「正論」欄で執筆した時評が集成されている。音楽を糸口とした社会批評から、明治期の精神史をあつかった論説まで、多岐に渡る時評が全五部の構成で所収されているが、これらの時…

投稿論文1 アジア主義から世界主義へ――摸倣子・文化圏・同一性

トモサカ アキノリ アジアという地域区分には、なんら蓋然性はない。我々は全世界における民族(Ethnic groups)の連帯を優先するべきである。そして、過去と未来の共栄圏建設は、あらゆる点でそのように読み直されなければならない。つまり共栄圏は、アジア…

時論2 イロニーとしての「日本」――「日本論」の氾濫を横目に

眼前の机上に、私が購読している「国民同胞」という、ある保守系の団体の機関紙が載っている。そこでの記事に、海外在住の日本人会社員の手記があった。論旨を掻い摘むと、海外で生活するには、祖国を心の支えにする必要がある、ということである。確かに、…

時論1 アジア主義の陥穽を探る――世界南モンゴル会議結成大会に臨席して

先日は、参議院議員会館で挙行された世界南モンゴル会議結成大会に臨席した。ゴビ砂漠以北のモンゴル民族は独立を果たしたが、ゴビ砂漠以南のモンゴル民族は中国共産党の圧政下にある。今回は、こうした圧政に抵抗するため、南モンゴルの諸団体が糾合し、世…

定例勉強会報告3 ベトナム民族運動と「民族の権利」

1.「民族の権利」としての基本的人権 東遊運動最大の指導者ファン・ボイ・チャウは、次のように言う。 「けだしヴェトナム人の今日フランス人に要求するところは、土地の回復ではない。権利の回収でもない。いっさいの土地利権は、ただカトリック教フラン…

定例勉強会報告2 本居宣長の神道思想における「擬制」の概念――江戸儒学からの影響を踏まえて(第2回・完)

二 本居宣長の記紀研究の手法――実証主義と「神代」の再構築 記紀解釈において要点となるのが、「神代」をいかに解釈するかという問題だ。日本初の正史である「日本書紀」は、冒頭に天地・国土や神々の誕生と神々の物語を記す「神代」巻を置いている。それは…

定例勉強会報告1 本居宣長の神道思想における「擬制」の概念――江戸儒学からの影響を踏まえて(第1回)

はじめに 江戸儒学において特徴的な概念である「擬制」は、荻生徂徠の思想を端緒として見出される。徂徠は、もはや再現しえない古代中国の理想的秩序を、言語的習熟という手段によって、かりそめであれ作為的に構築しようと試みた。こうした「擬制」論は、朱…

ブログ巻頭言

このブログでは、活動の中心である定例勉強会についての報告や、昨今の社会情勢を切り取った時論、そして感銘を受けた著作への感想をつづる書評など、会員の手による様々な随筆を掲載していく予定です。また、定例勉強会をはじめとする当会の主宰する催事に…

当会の紹介

民族文化研究会は、早稲田大学によって「学生の会」として公認されている政治学術サークルである国策研究会のOBを中心として結成されました。国策研究会は、昭和19年の創設から、政治を中心とする諸学の研究を通して、会員の知見を深める活動を展開し、早稲…