【関西】定例研究会のご案内

 

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次回の民族文化研究会関西地区定例研究会は、下記の要領にて開催します。万障繰り合わせの上ご参加ください。

民族文化研究会 関西地区第21回定例研究会

日時:令和2年1月11日(土)16時30分~19時30分
会場:貸会議室オフィスゴコマチ 207号室
京都府京都市下京区御幸町通り四条下ル大寿町402番地 四条TMビル
https://main-office-gocomachi.ssl-lolipop.jp/
会費:800円
​主催:民族文化研究会関西支部

謹賀新年

弊会会員各位

 

 旧年中は、格別の御高配を賜り、誠に有難う御座いました。昨年は、弊会の静岡支部が結成されるなど、弊会の活動に大きな前進が見られました。本年も、民族文化・民族問題の学術的研究という趣旨のもと、活動に取り組んで参ります。弊会の会員諸兄におかれては、本年も弊会の活動に更なる御理解・御協力を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

令和2年
皇紀2680年 元旦

                                民族文化研究会

 

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【静岡】定例研究会のご案内

 

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次回の静岡地区定例研究会を、下記要領で開催します。万障繰り合わせの上ご参加ください。

民族文化研究会 静岡地区第3回定例研究会

日時:令和元年12月21日(土)17時30分~19時30分
会場:富士交流プラザ2階 会議室5
静岡県富士市富士町20‐1
http://www.fuji-kousya.jp/kp/
​主催:民族文化研究会静岡支部
備考:参加費・資料費 無料

【関西】定例研究会のご案内

 

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次回の民族文化研究会関西地区定例研究会は、下記の要領にて開催します。万障繰り合わせの上ご参加ください。

民族文化研究会 関西地区第20回定例研究会

日時:令和元年12月21日(土)16時30分~19時30分
会場:貸会議室オフィスゴコマチ 208号室
京都府京都市下京区御幸町通り四条下ル大寿町402番地 四条TMビル
https://main-office-gocomachi.ssl-lolipop.jp/
会費:800円
​主催:民族文化研究会関西支部

【東京】定例研究会のご案内

 

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次回の民族文化研究会東京地区第23回定例研究会は、下記要領で開催致します。万障繰り合わせの上ご参加ください。

民族文化研究会 東京地区第24回定例研究会

日時:令和2年1月26日(日)15:30~18:00
会場:早稲田奉仕園102
東京都新宿区西早稲田2‐3‐1
https://www.hoshien.or.jp/
予定報告:折本龍則氏(浦安市議会議員)「『保建大記』の今日的意義について」
     輿石逸貴氏(本会会長)「あいちトリエンナーレ問題から考える人権」
会費:1,000円
​主催:民族文化研究会東京支部
備考:この研究会は、事前予約制となっております。当会の公式アドレス(minzokubunka@gmail.com)までご連絡ください。また、会場の開室は16:00になります。それまではセミナーハウス内のラウンジにてお待ちください。
(今回は、開催時刻が異なりますのでご注意ください)

【関西】定例研究会報告 「キシダママ」岸田袈裟の活動紹介——「保守」の新たな可能性を探る

令和元年11月16日に開催された民族文化研究会関西地区第19回定例研究会における報告「『キシダママ』岸田袈裟の活動紹介——『保守』の新たな可能性を探る」の要旨を掲載します。

 

はしがき

 「保守」とは何であろうか。この「保守」なる言葉は戦後政治思想史においてはほぼ革新勢力に対する反動という意味合いで使用されてきた。現在でも「保守」なる言葉は「反動」とほぼ同義語として使用されることが多く、いわば一種のレッテル貼りの道具となっている面が否めない。

 しかし、本来保守とは決して頑迷固陋なものではなく、何かを「保ち守る」思想であるはずである。単なる反動思想であるはずがない。保守の本質とは、「何を守るか」そして「その守った存在を通じていかなる世界を創造していくのか」にあるはずである。そこで問題になるのは、その守るべき対象と構想している世界像が個々人によって違ってくるという点である。保守すべき対象を、ある者は「固有の自然と言語」とし、またある者は「天皇を中心とした歴史と文化」とし、はたまた「現代の日本には保守すべきものなど無い」とする論者もいる。

 我々は日本の何を保守し、またどのような日本を創造していくべきなのであろうか。この問いを考えていく一つのヒントとして、本稿では栄養学者の岸田袈裟(1943~2010)の活動を紹介したい。岸田は栄養学者としてアフリカのケニアにてボランティアとして長年活動した人物であり、現地では「キシダママ」と呼ばれ尊敬されるほど、多大な足跡を残した人物である。一般には岸田はそれほど知られた人物ではないが、彼女の業績を紹介した漫画や絵本が出版されている他に、2006年のニューズウィーク日本版に掲載された「世界が認めた日本人女性一〇〇人」の一人に選ばれている。また岸田の姪にあたる菊池弥生氏による活動を紹介した論文「魔法のようなKamado Jiko」が第一回遠野文化奨励賞を受賞(岸田は岩手県遠野市出身である)するなど評価は非常に高い。

 まず初めに岸田の経歴を紹介したい。1943年に岩手県上郷町(銀遠野市)に生まれ、高校卒業後、相模女子大学にて栄養学を専攻。旧日本陸軍少将で戦前は軍馬の糧食の研究を行っていた川島四郎の下にて研究を行う。卒業後は横井庄一が潜伏していたグアム島の現地調査に出かけるなど、世界中を飛び回る生活を送る。その後アフリカのケニアに移住し、国際協力機構 (JICA)のメンバーとして活動。主に人口抑制についての研究や、活動を行った。一九九五年にはNPO法人「少年ケニアの友の会」を設立するなど活躍する。現地の人々から絶大な尊敬と支持を受ける中、2010年に死去。享年六六歳。

 

エンザロ・ジコとかまど

 岸田がケニアにて主に研究したのは、爆発的な人口増加にどのように対応するかの方法であった。調査の結果、岸田はまず乳幼児の死亡率を減少させることが適正な人口政策につながると考え、ケニアの「エンザロ村」にて故郷の遠野市にて使用されていたかまどを参考に、現地で作れるかまどを考案、これを広めた。それまでのエンザロ村の住民は地面に石を置き、たき火をすることで調理をしていたが、事故による火傷が絶えず、危険である上に、大量の木材を使用するので、森林の乱伐の要因にもなっていた。また衛生的にも多大な問題があった。

 そこで岸田は現地で簡単に入手できる材料をもとに後に「エンザロ・ジコ」と呼ばれるかまどを作り上げ、これを広めた(なおジコとはスワヒリ語でかまどを指す言葉である。つまりエンザロ・ジコとはエンザロ村のかまどという意味である)。このエンザロ・ジコによって女性は立ったまま調理をすることが可能になり、腰痛に悩む主婦が激減。一度に複数の調理が可能になったため、調理にかかる時間が少なくなり、女性の余暇時間が増えた。木材の使用量も激減し、薪拾いの手間が減ったほか、以前より簡単にお湯が沸かせるようになり衛生環境も向上した。このエンザロ・ジコはエンザロ村からケニア全体に広まり、さらに隣国のウガンダタンザニアにも普及。現在も設置が進んでいるという。

 なお、初めはこのかまどを「キシダ・ジコ」と名付ける話があったが、岸田本人がそれを固辞した。逆に言えば、それほど現地において岸田の功績は認められていたのである。

 

「パティパティ」と草履

 また、ケニアでは感染症の広がりも大きな問題であった。感染症が猛威を振るう理由として大きかったのは、基本的に現地の人々は裸足で生活していたという事実である。裸足で歩けば怪我をした際に血液感染のリスクが高くなってしまう。またケニアではHIVの流行が問題にもなっていた。しかし、革靴は高価で中々用意できるものではない。

 そこで岸田は郷里の岩手の古老から草履の作り方を教えてもらい、それを現地の人々に伝授した。ケニアでは藁の代わりにパピルスの芯などが材料として使われた。それが「パティパティ」である。ちなみに名前の由来は歩くときに「パティパティ」と音が鳴ることからとられている。衛生用の教材にもよいということで、学校で作り方が教えられているとのことである。また、子供にパティパティつくりを教えたところ、集中力が身に付き、学力が向上したとの報告もあり、エンザロ・ジコ同様、非常に大きな成果をあげている。

 

その他の取組

 また、アフリカではマラリアの感染が大きな問題になっている。いうまでもなくマラリアは蚊が媒介するが、施設が整っていない地域では、予防はかなり困難である。そこで岸田は日本式の蚊帳を持ち込むことにした。蚊帳なら現地の材料でも代用が可能で、しかも調達や作成も容易である。岸田の発想は常に住民とふれあい、生活の場から解決策を模索していくということであった。そしてそこには常に郷土の歴史が育んだ文化が存在したのである。

 

むすび

 岸田はフィールドワークをする際に、徹底的にその土地に溶け込み、文化や習俗を調べ、それを身に着けることにより、地べたから問題解決の糸口を見つけ出す人物であった。そして岸田自身、岩手の遠野という近代日本民俗学の発祥地にて生を受け、その郷土の生活や風俗、そしてその奥に存在する心性を確かに身につけていた。そしてそれらを海外の苦しむ人々に伝えることで、その生活を、文化を、世界を変え、そして創造したのである。この成果は岸田の類まれな行動力があってのことであることはもちろんだが、それ以上に名もなき人々(私はあえてこの人たちを誇りと尊敬を持って「土民」と呼びたい)が保ち守ってきた文化がもたらしたものであると考える。

 最後に、岸田氏に草履つくりを教えた遠野の古老の言葉を記しておきたい。1999年NHKで岸田氏の活躍をまとめた番組が放映された際、自分たちの教えた草履つくりが現地の人々に伝承されているのを見て、感動し、このように漏らしたという

 

  「まんず、オラ、これでやっと、死んでもいいと思った。だっで、苦しいことばっかりだったべ。戦争があったがらなっす。とうさん(夫)も(戦争で)亡ぐしたし、外国はみな敵なんだど教えられてきたけれど、それは違うんだ。みな仲良くするために、オラでも役だったんだもの」

 

  「わら草履だとか、カマドだとか、なんだろうと思ったのす。昔のことをしゃべれば(話しても)みな馬鹿にして聞くもんじゃない。それが、オレらを先生みたいにして、一生懸命だった。向こうの国のこともいくらか聞いだような気もするが、その時はよく分からながったんす。ここは、だいじょうぶだねんどの、エイズとか、何んだか大変なんだそうで、やっぱり世界のことも知らねばいげね。なんでも人のために役立つのはうれしいもんだなす。やっぱり、苦しんだことを忘れたり、目の前のことばかり考えては駄目だということがよく分かったのす」

 

 以上の言葉は、立花スマ、八幡ヨシノ、宮沢トキ、似田貝ツヤ、川前シメ達、遠野の古老たちが語った言葉である。彼女たちは岸田が現れると抱き合い、心底からの喜びを口にしたという。名もなき、辛苦の人生を送ってきた彼女たちは、かまどや草履を通じて、ケニアという国を救った。彼女たちは確かに、歴史的存在として世界を創造したのである。

 原点に戻りたい。我々は「何を何のために保ち守り、どのように世界を創造するのか」。それはまずは自己が意識的・無意識的に関わらず、様々なものを歴史から受け継いでいるという事実を自覚することである。そして常に立ち止まり、自己と世界を点検し、何を「保守」するのかを思考していくことである。そしてそれを身体化・血肉化し、世界を創造する営みに参加していく。これこそが本来の「保守」ではないか。

 「今の日本に守るべきものなど無い」とする論者がいる。はたしてそうであろうか。我々が「保守」すべきものは実は身近な所に今も確かに息づいているのではないか。そして我々が進むべき世界は今も創造される時を静かに待ち続けているのではないだろうか。岸田袈裟の残した足跡と、それを生み出した遠野の古老たちの存在は我々に本当の意味での「保守」の在り方を示しているように思えてならないのである。

 

参考文献

菊池弥生「魔法のようなKamado Jiko―アフリカの生活を変えた遠野のかまど」『遠野学 創刊号』遠野市文化研究センター 2012年3月

梅原愛雄『ケニアに愛をこめて 日本人ママ大奮戦』 国際協力出版会 2001年3月

小山 規『アリンゴと日本のママ』 財団法人 国際協力推進協会 2000年3月

さくまゆみこ・沢田としき『エンザロ村のかまど』 福音館書店 2011年6月

 

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岸田袈裟

 

【東京】定例研究会報告 平家物語雑感・早稲田と愛国

 令和元年11月17日(日)16:00~18:00、民族文化研究会東京地区第23回定例研究会が早稲田奉仕園にて開催されました。
 第1報告は、阪本浩氏による、「平家物語雑感」でした。教科書その他で知られた『平家物語』の文章の一部を実際に音読したうえで描かれた人物・事件について確認し、そこに現れた日本的情感についての検討がなされました。
 第2報告は、渡貫賢介(本会東京支部長)による、「早稲田と愛国」でした。左翼的な傾向が強いと認識されがちな早稲田大学の歴史をひもとき、草創期の人々の尊皇思想、大正期の左右対立、戦時期の事件などを振り返り、早稲田大学に尊皇・愛国の伝統があることを論じました。
 報告に加え、質疑応答では、NHK大河「平清盛」や、早稲田における愛国運動の豆知識など、ユーモラスな話題が多くみられました。
 次回は令和2年1月26日(日)15:30~18:00、早稲田奉仕園102号室にて開催予定です。ディープな内容を織り交ぜつつ、楽しく学べる会運営を心掛けておりますので、関心のある方はお気軽にご参加下さい。
(東京支部長・渡貫)

 

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戦前期の早稲田大学